3月31日未明、三途の川と海を小型船が行き来することに成功したことが中央府(地獄)のノーチラス氏から発表された。

　三途の川と海の往来を行うための試行錯誤は、ノーチラス氏が十王に着任して間もなくから始まった。地底から地上へと 船を移動させる方法や、地底の人々を地上の光に対しどのように順応させていくかなど様々な課題があったが、 前者は大型魔法陣を使い、後者は特殊な装置を用いることで解決された。資金は主にクラウドファンディングで集められたが 集められた金額は数百億にも及ぶと言われている。

　この計画の成功は、長年地獄にとって大きな課題となっていた、休日の外出先の選択肢不足という課題の解決への一歩となることが予想される。 獄卒や十王へのアンケートでは「地獄から出たいが魔界以外に行く場所がない」という不満が散見されていたが、今回三途の川と海を行き来できるようになることで、 海、更に海を越えた先の大陸へと外出先の選択肢が増えることが期待されている。

　近日中に客船でも運行テストを行い、一定数の人数での運行の安全性が確認でき次第本格的に海への連絡便を出航させることを 計画している。「地獄に来て一番の”地獄”は海風に当たれないことだった。海の魅力を是非地獄の人々に味わって頂きたく思う。」と ノーチラス氏は語っている。